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インタビュー動画の内容をテキストにしました!
20分間の動画を聞いているはちょっと大変、、、という方は、こちらをぜひ♪

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(※敬称略) 

田原:皆さん、こんにちは。今から地域共創カレッジについて、メインファシリテーターの信岡さんにお話を伺いたいと思います。インタビューさせていただくのは、反転授業の研究など教育系のコミュニティーを運営しています、田原真人と申します。よろしくお願い致します。信岡さん、よろしくお願いします。

 

信岡:よろしくお願いします。

 

田原:まず初めに、地域共創カレッジについて概要を伺いたいのですが、全体像としてはどのようになっているのでしょうか。

 

信岡:都会と地域を繋ぐ人を育てていきたいというか、一緒に『学びながら』、そういうコミュニティーを創っていきたいなという思いで始めています。社会人がメインターゲットなのですけども、5月のゴールデンウイーク明けから10月末までの約半年間、ほぼ毎週の水曜日夜19時30分から3時間ほど集まって、地域と都会を伴う未来で創っていける人になるための土台を作るというような学びのプログラムになっています。

 

田原:半年間、水曜日に集まる場所というのは、東京だけではなく色々な場所に移動するのですか?

 

信岡:メインは東京の竹橋にある「ちよだプラットフォームスクウェア」という所を会場に使わせてもらっています。開講から2ヶ月程経った7月の頭位に一度地域にも訪れ、今まさに共創している、そういう出来事が起こっている現場にも足を踏み入れてもらいます。そしてまた東京に戻って来て学び直す、というような形になっています。

 

田原:都会と田舎って本当は繋がっているのに、あまりその繋がりが普段意識されない関係があるという風に僕は思っているのですけども、信岡さんが都会と田舎の共創というところに着目したきっかけはどんなことだったのですか。

 

信岡:元々僕は大阪で生まれ育って東京で2年半ほど働いた後に、島根県海士町に移住して6年半生活させてもらいました。でも島にいて色々な問題に取り組んでいると、「これは島だけで問題は解決しないな」と。島まるごと持続可能にしようという挑戦って結局島だけでするのではなくて、都会と田舎の両方から関わり方を一緒に創っていくということをしない限りは成立しないんだなということを、特に3.11以降強く思うようになりました。例えば田舎の過疎という問題を末端冷え性という風に仮定すると、治すためには本当は生活習慣を変えないといけない。でも小指が冷えているからってそこだけさすっても、その一瞬では良くなるけれども全ての田舎はよくならない。そういうことを考えていく中で、都会と田舎の関係性・生活習慣全体を見直していくことによってじゃないと、この問題は解決されないなということを強く感じたというのが背景にあります。

 

田原:田舎の方から見ると「この問題は田舎だけでは解決できないな」ということを感じられたと思うのですけれども、都会から見るとこの問題というのはどうなのでしょうか。やはり都会だけでは解決できない問題というのが出てくるのでしょうか。

 

信岡:そもそもでいくと、今の都会というものは沢山の田舎が集まってくれることによってしか成立していないのです。東京が経済的に黒字で回っていて、「田舎の赤字をどうにかしなきゃ」と言っているのですけれども、東京で黒字を出している人たちに「どこの出身ですか」と聞くと、例えば茨城・埼玉・神奈川と言うわけです。それは結局、その人たちが稼げるまでは田舎で過ごしてくれて、稼げるようになったら都会に集まってくれるから都会が黒字になっている。下手すると、稼げなくなって高齢化したら「田舎に帰ってください」ということを言うわけですよ。それは植物で考えると、土を作って双葉が出るところまでは田舎で、実がなったとき都会に移して収穫するという流れです。都会は収穫だけ出来るからご飯を食べていますという考えを、育てて育んでいくところで最後形になるところまでの一連のプロセスで考えると、都会は都会だけで全く回っていない。都会という話も田舎なしでは成立しないということをすごく実感しています。

 

田原:なるほど。ホームページで共創カレッジのカリキュラムを拝見させていただいたのですけれども、『刺激創発型プログラム』っていうのが興味深かったです。日本だとカレッジっていうとすごく「教えてもらう」という所になりがちだと思うんですけれども、その『刺激創発型プログラム』というのはある種、学びのサイクルをぐるぐる回しながら刺激を受け取って考えて気づいて...というカリキュラムになっていると思うのですよね。そのようなカリキュラムにしようと思った背景や思いというのは、どういうことなんでしょうか。

 

信岡:『共創』というのがまさにその部分で、一緒に『創る』んですよね。今までの僕たちが受けてきた教育って、正解を知っている人が知らない人に教えるということを20年間位かけてずっと行い、学びの時間はそういう時間だと認識させられ続けてきた。でも誰もが正解を知らない時代、問題そのものを問い直さないといけない。そういうタイミングでなったときに、誰も正解が知らない中で一緒に未来を創るということに共に苦労するということが、僕自身も含めて体制としてなさすぎる。なのでついつい問題があると、「誰かが悪い」「指導者が悪い」みたいな世界観になってくる。でも本当は指導者も正解を知らない。誰も受け取らない重いボールを皆が嫌だからと言って誰かにパスするというのを止めて、重たい荷物を皆で一緒に背負うことによって、ただの重りではなくて祭りの神輿みたいに担ぐ価値のあるものに変えていきたいなということを感じるようになりました。『共創』するという文化や自分自身の学びのスタンスを育むことからじゃないと、最終的な都会と田舎の問題も消えていかないと思っているところです。

 

田原:僕が反転授業やアクティブラーニングに関わっているので、今おっしゃったような学びのパラダイスを変えていくっていうところにすごく共感します。カリキュラムの中ですごく僕が印象を受けたのは、刺激するっていう感覚があるという感覚なんですよね。講師や地域や同期の仲間、サポーターっていうのが全部刺激するためのリソースみたいになっていて、そこからの刺激を受け取って考えて気づいて...という風に回っていくプログラムになっているのがすごく興味深かったのですけれども、それがその「答えがない中で」学んでいくというときのスタンスですよね?

 

信岡:そうですね。全ての人が正解を知らないので、誰かから受けた刺激を自分自身がどう捉えて、どう消化して外側に吐き出すようにするかっていう方に価値があって、いかにインプットするかということはあまり価値がない。刺激というのがすごく大事だなと思うのが、最後結局アウトプットのところで、今までは「一人で何かを起こさないといけない」「上手くやっていかなきゃいけない」となっていた。でも本当は、お互いが刺激をしあって皆で一緒にやっと新しいパラダイスが生まれてくる。そういう刺激し合える状態や仲間づくりを僕らは「土づくり」と呼んでいるのですけど、その土づくりをする時間というものが今は無さ過ぎるんじゃないかなと。その関係性をつくっていく感覚というものが、このカレッジの一番大事な所なのではと思っています。

 

田原:僕はそこに、今までになかったものを感じています。今までだと何かコンテンツを受け取って、「こんなコンテンツを受け取りました」っていうことに対してお金を払っていくっていうような感覚がいわゆる教育のモデルにあったと思います。でもこの地域共創カレッジはどちらかと言うと、そこに関わって繋がって一緒に未来を創っていける仲間が出来て、という繋がりが出来るという体験を通して繋がっていくというところに価値があるんじゃないかなという風に感じているんですけれども、それはどうなんでしょうか。

 

信岡:まさにそうだと思います。本当は学習をサポートする側の人間の役割って、自分の持っている知識を沢山伝えることではなくて、参加した一人ずつの「考えたい」とか「自分なりに何かアウトプットしたい」という欲求をおこすこと。それぞれ自体が欲求を醸し出してふ化させていく時間というのを確保する、そのものの方が価値があると思っています。その刺激を自分一人だと高めきれないところを僕らも参加者同士も含めて、サポートする空間を確保していくというところがカレッジの学びの特徴だと思います。

 

田原:その学びが6か月続いたときに多分色々なドラマが起こっていくと思うのですけれども、6ヶ月経って地域共創カレッジのプログラムが終了したとき、信岡さんのイメージの中ではどんなことが生まれてそうな感じなんですか。

 

信岡:一番は「スタンスの変化」だと思っています。来る前は金額が高いというのもあって、「支払った金額分の払ったものをいかに教えてくれるのか」ってスタンスで来る確率が高い。「それさえ受けていれば共創できる人財になっているはず」のような。質の担保を僕らホスト側の役割になっている。でも変な話、これは刺激を用意するためにかかっているコストなので、それを受けて自分が何を考えて何をどうアウトプットに変えて生かせるようにするかが本当あなた次第。そのための主体的という言葉なのかよく分からないのですけれども、自分自身がこの機会を最大化しようとしたときに、同じだけそれを感じている仲間がいるから、カレッジが終わった瞬間にお互いが戦友っぽくなっている。ちょっと面白いエピソードが、やっぱり何か自分で自分なりの人を喜ばせるための時間とか自分の世界観を伝えるための時間を作ろうとしたときに、一人でやるのってすごく勇気がいるんですよね。でもそれがカレッジの仲間でワークショップを開きます、10人から始めてみようと思ったときに3人から5人最初にいてくれるとすごくその空間がホームになっていく。完全なアウェーに行くのでもなく完全な内輪ネタでもなくて、ホームとアウェーの間の第3の空間の中で自分のテストを高めていける。そのときに初めてちょっと一歩進む勇気が出てきたり、その勇気を見て「私もしたい」という人が出てきて連鎖反応が起こる。そういうことが個人競技としての学びではなくて、集団としての学びにしていけるところの価値が半年経つと出てくるんだろうなと思います。

 

田原:なるほど。僕もコミュニティー運営をしているので今のお話がすごく具体的にイメージできて、自分ひとりだと思うと自分が出来ることしかイメージが湧かないんですけども、仲間がいると「あの人とこの人が集まればこんなことが出来る」という風なアイデアが湧いてくる。その思考そのものが仲間がいるかいないかですごく制約されていたんだなっていう風に最近気付くんですよね。なので共創カレッジが出来上がって、そういうことを共にする仲間がいる段階で本当に発想そのものまで広がっていきそうだなっていうようなイメージが、今お話を聞いてて浮かんできました。

 

信岡:まさに。これちょっと難しいのが、例えば自転車が乗れるようになると、感覚がつかめて「自転車ってこう乗るんだよ」っていう説明がちょっと出来るんだけれども、乗れない人にはそれは説明で伝わらないんですよね(笑)。乗れた時にその説明が腑に落ちるので、多分今この言葉を聞いて何となく「そうだな」と思っているものが半年かけた後には「すごくそうだな」と思うとかそんな変化が起こっている気がします。

 

田原:そうですね。体験が内側にある人同士だと言葉をヒントにして体験が共鳴するんですけれども、体験がないと言葉が来ても共鳴するものが無くて受け取れないというのがあると思うんですよね。でも受け取れないながらも、直感的に「何か大事そうだな」っていうアンテナに引っ掛けて来てくれる方がいると、そこから体験そのものが出来てきて、あとから共鳴して受け取れるような状況になってきそうだなって思っています。

 

信岡:まさにそうですね。すごく自分自身が実践してみるということを大切にしていて、共創するって「誰かの旗に乗っかる」ではないんですよね。お互いに自分達同士の旗を立てたときに、同じ未来だから一緒に動ける。これは自分の旗を立てたことがある人同士ではないと出来ない。まず自分自身の旗を立てるというのはすごく勇気のいることであったりとか、自分自身の新しい可能性にチャレンジしていく力みたいな所が問われる所だと思います。そういう部分に共創の初めの一歩があると思っていて、カレッジそのものはこんな豪華な講師陣がいらっしゃるけど、結局は自分自身の実践型の行動という所を一番重視しています。

 

田原:なるほど。今すごく良い話だなと思ったんですけども、自分の旗を立てたときに初めて出会えるっていう感覚があると思うんですよ。本当に初めて喋った人でも、自分の旗を立てた人同士だったら出会えるっていう感覚が僕にはありまして、だからそういう風にそれぞれが旗を立てていったとこに起こる爆発的なドラマみたいなものがあると、さっき信岡さんがおっしゃっていたような言葉、荷物と思っていたものが神輿に変わっていくような、そんなエネルギーになりそうだなっていう風に思いました。

 

信岡:そうですね。共創的な動きと言うか生成的な動きと言うか、そういうのって積み重ねの足し算ではないんですよね。「あの人だから出来ることだから」とか「こんなことが出来るようになった私だから初めて見えてくる世界」とか、そういう掛け算とかですね、偶発性による物語の展開みたいなものが起こっていて、全く新しい所にサラサラと進むときは進む。逆に、いかに積み重ねても進まないときは進まないことがあるので、一口にこれが得られるよと言いにくいのが弱さでもあるけど本質であると思っています。

 

田原:本当そうですよね。最後に共創カレッジに興味を持っている、この動画を見ている皆さんに伝えておきたいことって何かありますか。

 

信岡:サティシュ・クマールという方が僕すごく好きで、イギリスでシューマッハカレッジというのをやらている校長先生なんですけど、その人が言う「変化のための3つのステップ」というのがあります。1つ目が「知識を得ること」。新しい物事を見ようと思ったとき、新しい知識が必要だと。2つ目が「立ち止まる勇気を持つこと」。新しい知識をもつと、世界が変わって見える。その世界と今までの世界がずれていくと、そこでどうしても勇気が必要になってくる。3つ目がまたすごくて、「自分を過少評価しないこと」。新しい世界に行こうとすると、そこで自分はあまりにも無力だとか何も出来ないようなイメージがあるのですけども、それはもうステップ2まで進んでいる。少しずつその中で自分の中の力を育てていくのに、いきなり物事って大きく展開していかない。その3つのステップを一人だとくじけそうなときに、同じようなステップを歩んでくれる仲間と本気でこの6ヶ月を過ごせるという時間は、その人の人生にとって大きな時間になると良いなと思っていつも頑張りたいと思っています。

 

田原:かけがいのない6か月になりそうな気がします。今日はインタビューありがとうございました。

 

信岡:ありがとうございました。

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